『ライトスタッフ』人間の正しい資質とは何かを教えられた映画です!
『ライトスタッフ』
何というか、耳慣れない言葉ですよね。
訳すると、『正しい資質』となります。
これは、人類初の宇宙競争の時代を振り返って作られた映画でした。
物語は、音速を有人機で超えられるか否か、という所から始まります。
第二次世界大戦が終わって数年、人生の目標を空飛ぶことに賭けていた男達は、戦争の終結により目標を失うばかりか、職を失いかねないという厳しい現実に直面していました。
そう、パイロットはもう余っていたのです。
ですが、どの時代も戦争は新機軸を試みる絶好の場所でもありました。
敵を圧倒する筈の新兵器は、方向性を少し変え、思い付きで作られたとしか思えない珍兵器まがいの機体も、予算の消化というかたちで、次々に試されていました。
その勇気ある男達こそ、テストパイロットと呼ばれる人達でした。
初期は、本当に自殺のための所業としか思えないほどの、危険極まりない任務であり、事実、数多くのパイロット達が事故で命を失っています。
それに対する代価はとても薄い物でした。
夫を喪っても妻やその家族達に支払われる保障は、全くと言って良いほど少なかったのです。
それでも空を飛ぶことを止めようとは彼らはしませんでした。
危険だからこそ、自分の要る場所はここにしかないんだ。
その決意で彼らは、操縦桿を握り続けたのでした。
そしてついに不可能と言われ続けていた、音速突破の有人飛行に成功するのです。
もうだめかと思われた危機を、克服した主人公に栄誉は用意されていませんでした。
彼はそれでも満足でした。
それから世の中は移り変わり、宇宙開発に国の新たな威信が求められる時代になりました。
宇宙へ行きたい。
自薦他薦を問わず、大勢のテストパイロットが選考されました。
しかし、彼は大卒でないと理由で選に漏れました。
ソ連との死闘を制すべく選ばれたのは、マーキュリーセブンと呼ばれた男達でしたが、彼らは全て海空軍及び海兵隊のテストパイロットでもあったのです。
選ばれた7人以外は、冷ややかな目で彼らを見ていましたが、主人公は自分は空を翔ける使命があると意に会さない表情を見せます。
彼が次に命じれたのは、最期の有人戦闘機と呼ばれた機体のテストでした。
驚異的な上昇力を誇るその機体で成層圏の限界まで達するのですが、エンジントラブルで機を喪ってしまいますが、傷付きながらも生還したかれの表情には一点の曇りもありませんでした。
男とは何かを教えてくれた名画でしたね。