【3分で学べる】戦国あれこれ⑤ 戦国時代の首実検について

首実検
「首実検」とは、合戦で活躍した武士が、戦場でうちとった敵方の首級(くびしるし)の身元を大将が確認し、その配下の武士の論功行賞の判定材料とするために行われた作業でした。端的に言えば、生首を見て、殺した相手が誰かを確認し、ボーナスを決定する作業です!
首実検の準備
首実検は戦が終わった後、討ち取った首を戦場の近くにあるお寺に集め、そこで行われました。敵といえども、武士の作法として、討ち取った敵将の首は首実検の前にきれいに整えられます。
洗う係は基本的に女性でした。従軍婦や武将の子女、それに半売春婦である御陣女郎と呼ばれる女性たちが首を洗い、ぼさぼさの髪はキチンとセットします。おしろいをはたき、口に紅をさし、ハイグレードな武将には、口をこじ開けてお歯黒のサービスまでしたそうです。首の切り口から流れ出る血は米の粉をまぶして止血しました。
化粧のすんだ首は、首台と呼ばれる板にのせて運ばれます。生前の身分によってこの板の質や大きさが違い、大将クラスはヒノキを使って一尺二寸四方ほどの板に四寸二分の高さの足がついた台を、家臣クラスになると大将より小さなサイズの首台を使いました。足軽などの身分の低い兵士たちは、一所に集められるだけでした。
神聖な儀式でもあった首実検
首実検に臨むときは、兵たちは皆実戦に出るときと同じ姿をしました。これは、首を奪い返そうとする敵に備えることと、正装で臨むという礼儀のためです。
そして首実検の開始前にみんなで「エイエイオー!」の勝ちどきを。
会場に総大将が現れると、一つ一つの首本人の名前や、討ち取った兵の確認、他者の証言を報告。場合によっては、生け捕りにした敵将に生首を確認してもらう事もありました。
そして、事の詳細を首注文に記録します。首注文とは、「誰が討ち取った、誰の首」と書かれて下げられた木の札のこと。
敵将の首を取る事は、戦で一番大きな武功とされていたので、この記録は重要でした。
首実検の後の首をどうするか?
実検が終わると、生首たちは捨てられるか、もしくは獄門(さらし首)にかけられます。
また、身分の高い武将の首は首桶に入れて、敵に送り返されました。
この場合、暇乞いの矢という儀式を行い、正式な書式に則った手紙が添えらたそうです。
おわりに
合戦では名乗りを上げると言う習慣があったとはいえ、影武者を使う大将もいたことですし、首の主が誰であるのかを見分けるのは容易ではなかったかもしれません。しかし、武将たちの報償は戦功によって変わりますから、皆真剣であり、戦い後は武士らしく礼儀を尽くした儀式を執り行ったわけでした。
明石 白(あかし はく)
スペイン在住という効率の悪い日本史バカ。ライター。歴史記事とコマーシャル記事とかコピー書いてます。日本史を日常に。
明石 白(@akashihaku) Twitter https://twitter.com/akashihaku
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